映画化希望

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2008年02月25日

■その10
 ある日、ジェシカは学校帰りに、おぼつかない足取りで家から庭に出てくる少年を見つけた。
 その少年の様子が変だったので、しばらく眺めていると、ゆっくりと庭に置いてある椅子に座って、椅子の隣に置いてあるテーブルの上の何かを探しているみたいだった。
 ジェシカはあの子は何をしてるんだろうと不思議に思った。もうしばらく見ていようかなと思ったけど、大好きなテレビが始まりそうなので、その少年の事が気になりながらも家に帰った。
 ジェシカは家でテレビを見た後、お父さんにおつかいを頼まれた。お父さんはジェシカに買ってくる物を書いたメモと、お金を渡した。ジェシカはお父さんに言われたとおり、近所のスーパーマーケットに向かった。
 ジェシカはスーパーマーケットに行く途中で、さっきの少年の家の前を通りかかった。少年は、まだ庭の椅子に座ったまま、特に何もしてないみたいで、ぼーっと空を眺めていた。ジェシカは空に何かあるのかと思って、空を見上げてみたけど、オレンジ色の夕日が眩しいだけだった。
 ジェシカがまあいいやと思って、再び歩き始めた時、道の向こうから見覚えのあるおじさんが歩いてきて、ジェシカに話かけてきた。
「こんにちは。えーと。んー。君はたしかジェシカだったね」
 ジェシカは不思議そうな顔をして答えた。
「うん。おじさんは・・・。えーと。・・・あっ。トムおじさん!?」
 トムおじさんはにっこりと微笑んだ。
「覚えてくれたのかい。嬉しいなー」
「うん。ちゃんと覚えたよ」
「ははは。偉いなー。ところで、こんな時間に一人でどこに行くつもりだい?」
「お父さんにスーパーに行ってきてって言われたの」
 トムおじさんは納得したようにうんうんと頷いて、ジェシカの頭を撫でながら言った。
「君は偉いなー」
 そして、こう続けた。
「そうそう。あそこの椅子に座っているのが、前に話したセバスチャンだよ」
 トムおじさんは、さっきまでジェシカが見ていた少年を指差した。ジェシカはその方向に振り返って、少年を見た。
「セバスチャンは毎日この時間になると、あそこでラジオを聴いてるみたいなんだ」
 ジェシカはトムおじさんの話を聞きながら、セバスチャンをずっと見ていた。
「なんでもセバスチャンの先生が、ラジオを聴くなら外で聞いたほうがいいって、教えてくれたかららしいよ」
「ふーん」
 2人はしばらくセバスチャンを見ていた。セバスチャンは2人が見ている事に、まったく気付いていないみたいだった。
 一時経つと、トムおじさんが言った。
「じゃあ。私はもう行くからね。気をつけて行ってくるんだよ」
「うん」
 トムおじさんはそう言って、ジェシカと反対方向に歩き出した。
 トムおじさんが行ってしまったので、ジェシカは再び歩き始めた。だけど、すぐに立ち止まり、振り返ってもう一度セバスチャンを見た。そして、ぽつんと椅子に座っているセバスチャンの事を、なんとなく寂しそうだなと思った。
 次の日も、ジェシカは学校帰りにセバスチャンを見かけた。セバスチャンはちょうど家から出てきたみたいだった。ジェシカは昨日のセバスチャンの姿を思い出し、話しかけてみようかなと思った。
 ジェシカはゆっくりとセバスチャンのいる庭に近づいた。そして、少し緊張しながら話しかけた。
「あなたの名前はセバスチャンね。わたしはジェシカ」
 ところが、セバスチャンはすぐに返事をしてくれなかった。何でだろうと思ったジェシカは、再び話しかけた。
「あなたはセバスチャンじゃないの?」
 すると、セバスチャンは辺りをキョロキョロ見渡した後、ジェシカの方を見て答えた。
「うん。ぼくはセバスチャンだよ」
 ジェシカはその時、セバスチャンは普通の子とどこか違うと感じた。セバスチャンはジェシカの方に顔を向けていたけど、目を見ていなかったからだ。
 ジェシカはセバスチャンに聞いてみたい事があった。トムおじさんが言っていたように、本当に目が見えないのか教えてほしかった。もし本当に見えていないなら、自分の姿がわからないはずなので、学校の男子みたいにいじわるな事は決して言わないだろうと思っていた。
 ジェシカがセバスチャンに目の事を聞くと、ジェシカの位置はわかるけど、本当に目は見えないと答えた。だけど、ジェシカはセバスチャンの言っている事が信じられなかった。セバスチャンの目はしっかりと開いているのに、見えないなんておかしい。おもいっきり顔を近づけたら、見えるんじゃないかと思った。
 ジェシカはそう思いながら、セバスチャンのいる庭の周りを見渡した。すると、柵と地面の間に、自分がくぐれそうな隙間があるのに気付いた。ジェシカはそこから入って顔を近づけてみようと閃いた。
 ジェシカは、急いで隙間をくぐりぬけ、セバスチャンのいる庭の中に入った。それから、お互いの鼻と鼻が当たりそうなくらいまで、一気に顔を近づけた。セバスチャンの瞳にはジェシカの顔が写っていた。ジェシカは大きく目を開いて、瞳の奥をじっと見た。その瞳は、薄い青色をしている綺麗な瞳だった。
 ジェシカはそのままでセバスチャンに聞いた。
「今度はどこにいるかわかる?」
 すると、ジェシカの目の前の瞳が急に大きくなった。同時に口があんぐり開いて、鼻がひくひくなった。
「ぼ、ぼくのすぐ目の前かな」
 ジェシカは思わず笑ってしまった。本当に、これ以上ないくらい目の前にいて、セバスチャンの顔が凄くびっくりしていたからだ。
 それから、ジェシカは自己紹介をした。さっきもしたはずだけど、セバスチャンは聞いていなかったみたいだった。
 セバスチャンはヘンテコな子だった。ジェシカが持っていた「クラウンビスケット」をあげたら、ムシャムシャほおばって、心から満足気な顔をしたり、子供なら誰でも知っているような話なのに、それを聞くと「凄い!、凄い!」とおおはしゃぎしたり、ジェシカとお話しているのが、本当に楽しそうだった。
 2人はすぐに仲良くなって、ジェシカはまた遊びに来る事を約束した。すると、まるでクリスマスがきたみたいにセバスチャンは喜んで、ジェシカはそれが嬉しかった。
 帰り道、ジェシカは空を見上げながら歩いた。なんだかとってもいい気分だったので、空がいつもより綺麗な気がした。
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■コメント

■ [たもつ]

そうか、あのとき(その7)のジェシカ目線なのですね。ジェシカもいろいろあって落ち込んでいたのですね。でも二人が友達になってよかった。
ところで「ラジオを聴くなら外がいい」って哲学的で素敵ですね。

■ [南国特産]

>たもつさん

たもつのコメントは「へぇ」と思うことがいつも書いてあって、おもしろいです。ブログにあげてみて、よかったなと思いました。

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南国特産

Author:南国特産

初めて小説を書きました。
もの凄くヘタですが、もしよろしければ読んでみてください。

感想等、お待ちしています。

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