映画化希望

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2008年02月04日

■その6
 マリアは帰って来ると、おなかを空かせたセバスチャンの為に、急いで夕食を作った。
 今日の夕食はセバスチャンの前々からのリクエストでハンバーグだった。テーブルに座っていたセバスチャンはハンバーグの焼けるいい匂いにもう我慢できなくなって「まだー」と連発していたけど、フライパンの中のハンバーグはセバスチャンがいくら急かしてもマイペースにこんがりと焼き目をつけていた。
 夕食の時間は、セバスチャンが今日の出来事をマリアに話す時間でもあった。
「トムおじさんの飼っているネコはミケネコのミケールっていう名前なんだよ。知ってた?」
 セバスチャンは口の周りにハンバーグのソースをベタベタつけたまま喋り始めた。他には、
「マイケル先生の好きな偉い人はマルコ・ポーロなんだって。変な名前だよね」
 セバスチャンが今日話した中でも、マリアが一番おもしろかったのはこの話だった。
「今日、マイケル先生に『オンナノコ』が好きか聞いたんだけど。答えてくれなくて。また今度って言われちゃった。マイケル先生はいっつも何でも答えてくれるのに。何かちょっと変な感じだったよ」
 マリアはクスクス笑って答えた。
「その答えはいつ教えてくれるのかしらね」
 セバスチャンもそう思った。それともう一つ思い出した。
「あ!そうそう。トムおじさんが言ってたよ。お母さんは今も昔も『オンナノコ』だって」
 それを聞いたマリアは思わず「まあ」と目を丸くした。
 夕食が終わったら、セバスチャンは歯を磨かないといけなかった。本当は口の中が何だかわからなくなるから歯磨きは嫌いなんだけど、歯磨きをちゃんとしないと、とんでもない事が起こると言われているので我慢しながらやっていた。
 歯磨きが終わったら、セバスチャンはマリアと一緒にお風呂に入った。お風呂の湯船は暖かくて気持ちがいいし、プカプカ体が浮かぶのが面白くて好きだったけど、髪を洗ってもらうのは苦手だった。
 マリアはセバスチャンの髪を洗う時に必ず合図をしていた。。セバスチャンは合図があったら目をぎゅっと瞑って、マリアが「もういいよ」と言うまで、じっと耐えていた。マリアは少しかわいそうな気がしたけど、この時ばかりは我慢してもらうしかなかった。セバスチャンにとってシャワーのジャーッという大きな音はとても怖かったし、体に水が当たる感触は気持ち悪かった。
 お風呂から上がったセバスチャンはいつも頭がボーっとしていた。マリアはそれは眠いっていう事と教えてあげた。目を開けていても、瞑っていても同じなのに不思議だなとセバスチャンは思っていた。
 セバスチャンが眠くなってきたら、マリアはだっこしてベッドに入れてあげた。セバスチャンはこの瞬間が好きだった。でも、マリアはセバスチャンをベッドに入れると「おやすみ」と言って、静かに居なくなってしまうので、この瞬間は寂しくて嫌だった。
 布団に入ったセバスチャンはじっと目を瞑った。いつもと同じなんだけど、なにかが違う。もっともっと、暗く深いところに落ちていく感じがした。
 そしてまた次の日が来る。いつもと同じ一日がやってくるはずだった。
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■コメント

■ [たもつ]

はじめまして。たもつと申します。
私もブログで小説をかいているのですが、南国特産さんの小説はいいですね。英国の児童小説のような雰囲気で、とても読みやすくて、好きです。
映画化、しやすいと思います。

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プロフィール

南国特産

Author:南国特産

初めて小説を書きました。
もの凄くヘタですが、もしよろしければ読んでみてください。

感想等、お待ちしています。

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